INDEXで一言 2001年3月
4日 音楽室の肖像
5日 新作発表、そして
11日 不発弾処理
12日 襲名の理由
18日 かぐや姫の空腹
19日 占星術殺人事件
25日 続・音楽室の肖像
30日 大嘘新聞発売

→2001年2月 →2001年4月 →他の月へ 

2001年3月4日
 学校の音楽室というと、つきものなのが作曲家の肖像画です。
 バッハ。モーツァルト。ベートーヴェン。シューベルト。ずらーりと教室を取り囲んでおります。
 あれも妙な習慣ですね。だって理科室に、ニュートンやアインシュタインの肖像画飾ったりしないじゃないですか。美術室にゴッホやピカソの自画像並べませんよね。なぜ音楽室だけ肖像画があるのか(もっとも美術室の場合は、あんまりちゃちな印刷だと美術の先生の美意識を損ねるかもしれませんが)。
 やはりこれは巨大資本の力を感じるな。学校が建つときくと、とんでって作曲家肖像画セットを売り込むヤマハの営業さん、いらっしゃいましたらお便りください。
 今週の「日本の標準SR」は「東海地方の県の数」です。
2001年3月5日
 お待たせしました。大型小説の新作、大型生活小説「排水管にあこがれて」リリースです。
屋根の上の新聞読み」にも「かけてみればわかる」「横浜の猪八戒」を追加しました。
 さて今日はもう一つ告知があります。
 このたび新潮社から「大嘘新聞」(光デパート・やゆよ・義眼・佐野祭 共著)が発売されることになりました。新刊案内はこちら。
大嘘百貨店」の光デパートさん、「やゆよ記念財団」のやゆよさん、「義眼 in 京都」の義眼さんと、私以外は現代お笑いウェブを代表するそうそうたるメンバーが今まで練り上げてきた大嘘の数々、爆笑間違いなしです。
 もちろん大型小説もこの本のための書き下ろし新作2篇をはじめ、大型煙草小説「日た」大型テロ小説「声明文を書こう」など多数掲載されております。
「大嘘新聞」はエイプリルフール4月1日発売! のはずだったんですが、あいにく今年は日曜でして、直前の平日である3月30日発売! になりました。ただいま全国の書店で予約受付中、価格1000円です。
2001年3月11日
 お便りをいただきました。

はんちゃんさんのお便り

はじめまして、はんちゃんと申します。

ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」を見に行く前に 予習しようと google.com を使って「屋根の上」で検索すると、 「屋根の上の新聞読み」が1位にリストされてしまいました。
それだけ人気があるということかな?すごいですね。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn01030504.html
中国新聞のニュースです。写真転載がOKなら、新聞読みの記事に 面白いのでは?不発弾処理に2500人避難とありますが、 写真を見ると、、みんな見物してるじゃん!

 一見なんの変哲もない記事ですが、よくぞそこに気がついた。
 今週の「日本の標準SR」は「今どきの飯どき」です。
2001年3月12日
 前BBSにも書いたんですが、襲名の理由の一つが「姓と名の分離してる名前にする」というのがありまして。「ゐんば」だとまずそれが人の名前である、という基本的なことがなかなか世間にわかってもらえない。ほら、最近のCDってどっちが曲の名前でどっちがバンドの名前かわからないじゃないですか。
 ということもありまして名前変えたんですが。
 ここに新潮社の4月の新刊案内がありまして。
……えーとこのいかりや長介著「だめだこりゃ」って面白そうですね。って、そういう話がしたかったんじゃなくて。
 なーんかあれだけ大騒ぎして名前変えたのに、「大嘘新聞」著者のうち名字があるの私だけですね(光デパートさんはたぶん「光」が名字というわけではないと思う)。
 おまけにうちらの上にいるのイチローだし。
2001年3月18日
 義兄のうちでお産だというので、妻が(つまり義兄の妹ですね)助っ人に行きました。
 助っ人といっても別にお産を手伝うわけじゃなくて、それは病院の方でやってますから、家に残った三歳の長男の世話焼きにいったわけです。
 一日中さんざん機関車トーマスごっこをやってやっと義兄が帰ってきたのでのびておりますと、義兄が子供を寝かしつけるためにかぐや姫のお話をしている。
「おじいさんは山に竹取に、おばあさんは川に洗濯にいきました」
……違う。それは間違っている。おばあさんは川に洗濯になど行ってない。まあおばあさんが洗濯に行っても別に話に支障はないんですが、こういうものは妙に気になる。と思えども、なにしろこちらものびきっておりますから身動きがとれない。
 などと妻が苦悶しているうちに、おじいさんは光る竹を見つけました。切ってみると中からかわいらしいお姫様が。
「お姫様は言いました。『おじいさんありがとう。私はおなかがすきました』」
……違う。それは間違っている。かぐや姫はそんなこと言っていない。まあかぐや姫のおなかがすいても別に話に支障はないんですが、こういうものは妙に気になる。と思えども、なにしろこちらものびきっておりますから身動きがとれない。
 などとカミさんがじたばたしている間に子供が「チャンチャン」と言って話を終わらせてしまいました。
 今週の「日本の標準SR」は「ドナドナの仔牛の運命」です。
2001年3月19日
 新本格ミステリーの傑作として島田荘司の「占星術殺人事件」をあげる人は多いと思います。私この本については苦い思い出がありまして。
「金田一少年の事件簿」を、「占星術殺人事件」より先に読んでしまったんです。ああああ。
 分かる人にはこれだけで私の苦悩が分かってもらえると思う。のでこの話おしまい。ではあんまりなので説明しますと、「金田一少年の事件簿」のエピソードの一つが、「占星術殺人事件」のメイントリックをまるまるパクったものだったのですね。もちろんミステリーでトリックがある程度似るのは仕方のないことなんですが、似てるというレベルでは済まされない、完全なパクリだったのです。
「占星術殺人事件」はかなりヒットした作品です。だが、小説と漫画では基礎票が違うのです。「金田一少年の事件簿」の方が遥かに部数が出ているのです。たぶん私と同じような不幸な目に遭った人、多いんじゃないかな。私はまだましかもしれませんね。それでも「占星術殺人事件」を読んでいるのだから。
 数年前これと似た事件がネットでも起きました。「痛みの統一単位として『ハナゲ』が採用された」というチェーンメールです。私のところにも来たし、かなりの広範囲に出回ったんじゃないかなあ。
 しかしこれは内容的にかなり改竄されていましたが、元ネタは紛れもなくやゆよさんがニフティのコメディフォーラムに発表し、のちに自らのサイト「やゆよ記念財団」で発表したものだったのです。
 でも、いくら「やゆよ記念財団」が人気サイトといっても、チェーンメールを受けた人の方が多いんじゃないかな。それ考えると憂鬱ですね。
 やゆよさんの原作は、もちろん今度発売される「大嘘新聞」にも収録されています。ご覧の通り、表紙にも帯にも「ハナゲ」の文字が大きく踊っています。「元ネタはこっちだよ」のアピールでもあるわけです。
屋根の上の新聞読み」に「アルジェリア兵への拷問」「人生をなめた強盗」「法輪功の親玉」を追加しました。
2001年3月25日
 4日のこのコーナーでなぜ音楽室にだけ肖像画があるのか、という話を書いたんですがそれについて現場サイドから重要な情報をいただきました。

YAMAHAの一営業マンさんのお便り

 はじめまして、ヤマハで学校販売営業をしておる者です。
 INDEXで一言になぜ学校の音楽室に作曲家の肖像画があるのか? という疑問がありましたが、現在ヤマハの商品にこれら肖像画はございません。
(ちなみに全音というメーカーから販売されております。)
 以前は文部省規定、標準学校教材規定の中に音楽科・作曲家肖像画集というものがあり、その規定にのっとって納品されていたものと推察されます、が現在の規定には肖像画集は無く、よってヤマハの商品ラインナップからも落ちているのでしょう。
 ですので、本当に最近創立された学校ではもはや展示されていないところもあるようですよ。

 おお、これはびっくり。文部省の規定だったのか。
 そっかー文部省の、いま文部科学省になったんでしたっけ、役人の中に私と同じ疑問を持った人がいたわけですね。
「なんで音楽室だけ肖像画なんて規定があるんだろ? この規定いらないや」
 これからは音楽室の肖像画を知らない世代が増えてゆくというわけですね。
 貴重な情報どうもありがとうございました。
 今週の「日本の標準SR」は「エイプリルフールの嘘」です。
2001年3月30日
 てなわけで今日が大嘘新聞発売日です。
 ていうか気の早い本屋にはもう並んでたりしていて、私も新宿の紀伊国屋に平積みされているところを見たんだけど。
 世の中ってのはなんであんなにいっぱい本があるかね。
 いや、今に始まったことじゃないんだけど。自分がワンオブゼムになると痛感するのよ。
 紀伊国屋にいた人、みんなで手分けして読んでも一年たっても読み終わらないよ。だいたい人間一人の横幅って平積みの本4冊分くらいなものです。紀伊国屋の場合は縦に6冊くらい並んでいるから、それだけで一人の担当が24冊。実際にはそんなにぎっしりと人が並んでいるわけではないから、一人で200冊くらい面倒見なければならないのですね。これが新刊だけの話。
 まあ、そう考えると一冊の本との出会いは一つの奇跡と言えるでしょう。その一冊が大嘘新聞だったあなたは、もしかするととっても幸運なのかも知れません。