バリトンが隣に座る恐怖、というお話をしたいと思います。
その日の昼食、私は同僚と親子丼屋にいました。テーブルが4つほどの狭い店内です。
後から来た客のところに、店の人が注文を取りに来ました。
「並」
急にその狭い店内を衝撃波が走ったのです。
最初何が起こったのかわかりませんでした。店員が尋ねます。
「お吸い物はおつけしますか」
「いえ」
また衝撃が走ります。隣を見ると、立派な体格の男が麦茶を飲んでいます。
連れの女性との話の内容を聞いていると、どうも「伴奏」だの「ホール」だの音楽用語がちらばっています。いや、別に盗み聞きしたわけではありません。聞きたくなくても、彼の声は否応なしに耳に飛び込んでくるのです。
私はやっと何が起こったのかわかりました。その立派な体格の男は、オペラ歌手だったのです。
私は初めて、オペラ歌手の持つ破壊力を身をもって実感することができました。それにしても彼ら、舞台でほほ寄せ合って歌ったり鼻つきあわせて歌ったりもしてますが、お互いにうるさくないんだろうか。
今週の「日本の標準タロウ」は「傷口に貼るヤツ」です。
久々に「猫になれ」に4猫追加しました。