デパートに帰ると、すでにクリスマスプレゼントを買い求める人の行列ができていた。さっそくてきぱきと包み始める手児奈。その鮮やかな手付きに杉野森主任も満足げだ。店内は活気にあふれている。
「ねえねえ、ユーサクくんって青と緑とどっちが似合うかなあ」
「なあ、どういうのあげたらいいと思う?俺あんまり女の子にプレゼントしたことねえからわかんねえよー」
「それあんたの彼氏には地味すぎない?もっとパーッとしたのがいいんじゃないの」
「おまえ今どき三千円のブローチでごまかそうってのは太えんじゃねえか」
手児奈はふと包む手を止めた。
なぜ私はこうまでして包まなければならないのだろう。みんながプレゼントではしゃいでいるときに、彼氏を見つけるでもなく稽古を重ねてまで。クリスマスに浮かれる人々のために。
顔を上げると、心配そうな表情の喜三郎がたっていた。
「ね。みんな続かないのわかったでしょ」