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大型バドミントン小説
宇宙のシャトル
佐野祭

 宇宙船ではちょっとしたことで喧嘩になる。
「てめえ」キサブローが叫んだ。「バドミントンで勝負だ」
 てなわけでキサブローとヤサブローは宇宙空間でラケットを構えて向き合っている。
 宇宙バドミントンはかつては宇宙船の船内で行われていた。だが、エキサイトして計器を壊す事故が多発した。そのため今は船外でプレーすることになっている。もちろん宇宙服着用だ。
 ヤサブローのサービスが飛ぶ。
 地球上であればシャトルの空気抵抗で減速するが、ここは宇宙空間、シャトルには空気抵抗は働かず、シャトルは初速のままで、その速度に対抗するにはどうするか。
 自らも飛んでゆくしかない。
 キサブローは宇宙服の小型ロケットに点火し、加速し、シャトルに追いつき打ち返し、ヤサブローのレシーブはキサブローの逆をつく。
 地球上であればフットワークで切り返すことになるが、ここは宇宙空間、足元は宙に浮いていて、フットワークは使えず、逆をつかれたシャトルを打つにはどうするか。
 自らも飛んでゆくしかない。
 キサブローは宇宙服の小型ロケットに点火し、逆進し、シャトルに追いつき打ち返し、ヤサブローのレシーブは少し高く上がった。
 地球上のバドミントンであればシャトルが落ちてくるところを打つが、ここは宇宙空間、シャトルに重力は働かず、そのまま登り続け、帰ってこないシャトルを打つにはどうするか。
 自らも飛んでゆくしかない。
 キサブローは宇宙服の小型ロケットに点火し、加速し、シャトルに追いつき打ち返した。
 このラリーはいつまで続くのか。もちろんシャトルが地面に落ちるまでだ。

     [完]




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