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大型環境小説
割り箸リサイクル
佐野祭

「さて、地球にやさしいレポートのコーナーです。今日は手児奈ちゃんはどこに行ってるのかな。手児奈ちゃん」
「松本さーんこんにちわぁ、梅田手児奈です」
「こんにちは、手児奈ちゃん」
「松本さん私がいま持っているのが何だかわかりますか」
「ん?それは、お箸ですか」
「そう、これ、割り箸です。割り箸は何でできてるかわかりますか」
「そんなことわかりますよ、木でしょう」
「そうなんです、この割り箸、木でできています。でも割り箸は使い捨て。これは森林資源の無駄遣いですよね。そこで、きょう私は割り箸のリサイクル工場におじゃましてまあす」
「はーい、じゃあよろしくお願いしまーす」
「はーい。工場長の杉野森弥三郎さんにお話をうかがいます。杉野森さんよろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
「さて、私の後ろにある機械。これは何の機械ですか」
「これはですね、割り箸を洗う機械です」
「おっきな機械なんですね」
「ええ、割り箸には揚げ物の油などが染み付いてますのでまずその油を分解します。さらに醤油やソースのしみがありますので、これも特殊な薬品を使って溶かします」
「いろんな汚れがついてるんですね」
「最後に水洗いして仕上げです」
「なるほど。さて、こうして洗った割り箸はこちらの機械に運ばれます。この機械はなんですか」
「この機械は、洗った割り箸を乾燥する機械です」
「乾燥機ですか」
「木材なものですから、急に乾燥すると変なしなりがついてしまうので低温でゆっくり乾かしています」
「はー、手間がかかっているんですね。さて、これがきれいに洗われて乾かされた割り箸です。この割り箸はどのようにリサイクルされるんですか」
「それはこちらの工程になります」
「わあ、大勢の作業員の方が机に向かってます。ここは何をされてるんですか」
「ここではですね、二つに割れた割り箸をぴったり合うように元のペアを探しているんです」
「ひとつひとつ手作業なんですね」
「ここだけはどうしても機械化できなくて、人の手に頼るところですね」
「はい。ペアが見つかるとテープで仮止めされて、こちらの機械に運ばれます。この機械は何をしているんですか」
「ここでは接着剤を流し込んで、ペアの割り箸をくっつけています」
「はーだいぶ割り箸らしくなってきましたね。さて、これはいよいよ仕上げのようですね」
「はみ出した接着剤を削って、形を整えています」
「はあい、リサイクル割り箸のできあがりでえす。わあ、見た目には全然わかりませんね」
「はい、こうして再生した割り箸は包装されて飲食店や弁当屋に運ばれます」
「はい、割り箸のリサイクル工場からお届けしました」
「手児奈ちゃーん」
「はーい松本さーん」
「どうですかリサイクル割り箸、触った感触は」
「ええ、こうやって割ってみてもね、普通の割り箸と変わらないんですよ」
「すごいねえ。杉野森さん、はじめまして、松本と申します」
「はじめまして」
「このリサイクル割り箸はだいぶ使われてるんですか」
「ええ、おかげさまでいま全体の五パーセントはリサイクル割り箸が使われています」
「いやあ五パーセントと言っても割り箸全体のですから大きいですよね」
「来年中には十パーセントに乗せたいと思ってます」
「松本さん、今日使った割り箸がもしかすると広末涼子ちゃんが使ったものかもしれませんよ」
「ははは、私は藤原紀香さんのほうがいいなあ。杉野森さんどうもありがとうございました」
「ありがとうございました」
「手児奈ちゃん明日もよろしく」
「はーい」
「はい、今日の地球にやさしいレポート、割り箸のリサイクル工場をご覧いただきました。明日は爪楊枝のリサイクル工場からお届けします。ではコマーシャル」

     [完]




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