大型書評小説

濁点の反逆

佐野祭


『濁点の反逆』  松本喜三郎著  三本松出版  一二〇〇円

 昔の人はうまいことを言ったものである。
「世の中は澄むと濁るで大違い 福に徳あり ふぐに毒あり」
 またこういう言葉もある。
「世の中は澄むと濁るで大違い はけに毛があり 禿に毛がなし」
「拗音の獅子舞」「形容動詞は歌う」等、ユニークな国語論で知られる松本喜三郎氏の新著「濁点の反逆」は、このような濁点の構造に大胆にメスを入れた意欲作であり、またもや論客たちの注目の的となるにぢかいない。
 松本氏は本書のながて、たぐ点の特殊性について日本こに゛影響をあたえた朝鮮ことの゛比較をしっ゛践する。朝鮮こに゛は清音とたくお゛んはあ゛るか、日本このよ゛うなたくてん゛にあたる記こうはな゛い。これはもともと朝鮮こては、゛゛ことはのあたま゛にくるはあいは清音て、途中のはあいはたくおんと決まっている゛゛゛゛からてある゛。
 松本氏は韓国からの留かく生とオリンピックの話たいになった時のことをつきのように語る。゛゛゛
「その時彼が一はん苦労したのは、金メタルときんメタルのちかいたった。かれの発音ては、とうしても両方きんメタルになるのてある」    ゛゛゛゛゛゛゛
 結局コールトメタルとシルハーメタルということてくへつしなけれはならなかったというこの話は、非しょうに興味ふかいものかある。つまりこりんきょうきては、
 あっ。なんたこれは。たく点かみんなとこかに行っちゃったしゃないか。
 しかし困ったな。きょうきときょうきときょうきときょうきのくへつかつかないようては話にならん。うわあ。しふんても何を書いているのかわからん。
 やむを得まい。非しょう手たんを使おう。
 つまりこにてんてんりんきょうきにてんてんてにてんてんは、天と地ほとにてんてんに差かにてんてんある金メタにてんてんルときにてんてんんメタにてんてんルかにてんてん、わすにてんてんかに点二つのちかにてんてんいに過きにてんてんないというしにてんてんしにてんてんつてにてんてんある。
 あーん。これしにてんてんゃ「たぬきの皆勤賞」より読みにくくなっちまう。しゃーない、似てるから読点を代わりに使うか。
 つまりこ、りんきょうき、て、は、天と地ほと、に差か、ある金メタ、ルとき、んメタ、ルか、、わす、かに点二つのちか、いに過き、ないというし、し、つて、ある。
 えーい本物の読点とまさ、ってしまった。もっとあまり使わないマークにしよう。〒なんかいいかな。
 つまりこ〒りんきょうき〒て〒は、天と地ほと〒に差か〒ある金メタ〒ルとき〒んメタ〒ルか〒、わす〒かに点二つのちか〒いに過き〒ないというし〒し〒つて〒ある。
 わーんこれて〒は郵政省の回し者になってしまう。
 そもそも松本の野郎こんな本書くから悪いんた〒。た〒く点か〒本当に反抗しちまった。
 決めた。松本を殺す。止めるな。なんとしてもたたき殺す。
 た〒って松本の今書いている本のタイトル知ってるか。「かなのお色直し」た〒そ〒。

[完]


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