えーではまず書き取り問題です。次の人名を漢字で書いてください。「かつしかほくさい」
　てなわけで今週の質問は田辺さんからいただきました。

　私は葛飾区に住んでいるのですが、葛飾区の葛って葛飾区とか葛飾郡とかでしかあんまり漢字で書かないと思うんです。（名前に葛のある人ごめんなさい。）

　そこで、この葛なんですけど、下半分の勹の中って何書きますか？

勹←この中はカタカナのヒだって言う人もいるし、
勹←これの下にＬと書いて囲いを作って中に乂を書く人もいるし。

　ホントは囲いの中に人なんですけど、昔のワープロとかのソフトだと葛なんですよね。

　年賀状の住所も結構様々な字で書いてきてくれるのですが、皆さんは葛ってどう書いてますか？

「葛ってどう書いてますかって、って書いてあるからなんじゃないの？」という方もいるかも知れませんが、実はすべてのパソコンで「葛」という字がとは限りません。実は１９８３年にＪＩＳが改定されていまして、それ以前はこの３３６Ｂというコードはだったのです。
　１９８３年というとかなり昔のことのようですが、このとき既にベストセラー機ＰＣ−９８０１は発売されていました。そして、ＪＩＳ改定後も互換性のためＰＣ−９８０１シリーズでは旧ＪＩＳを使い続けましたから、９０年代にいたるまでキュッパチでは「葛」はです。
　ちなみに、ＪＩＳはあくまで工業の規準でして、国語の規準ではありません。従って新聞では今でもを使っています。
　しかしいまさら「医」を「醫」、「庁」を「廳」と書きたいとは思わないけど、「」と「」じゃ略してもあまり略した甲斐がないではないですか。松たか子を「まつたか」と略すようなもので。
　さて、あなたはこの字をどう書きますか？

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　漢字の規準というのは実はちょっと複雑です。おなじみの常用漢字（年配の方には当用漢字の方がおなじみかしら）は文部省の管轄ですが、このほかに人の名前に使ってよいという人名用漢字がありますね。これは法務省の管轄です。一方、パソコンの書体に使われるＪＩＳは通産省の管轄です。
　現在のＪＩＳが制定されたときはディスプレイでもプリンタでも１６ドットが普通で、少ないドットでも書けるようにより省略された書体が採用されたようです。
　たまに人名用漢字に追加が入りますが、そのときＪＩＳにない書体の字が追加されることがあります。人の名前に使われるのにパソコンに出てこないというわけにはいきません。そうするとＪＩＳに追加されることになります。ＪＩＳの終わりの方、「堯槇遙瑤凜熙」はそういうわけで追加された字です。

　てなわけで何一つ意見はまとまりませんでしたが、

　日本の標準は「『葛』の勹の中はヒ」に決定いたしました。