大型伝記小説
影響なき天才たち

 松本喜三郎−−その名はあまり知られていない。だが、彼こそは近代医学に大きな金字塔を打ち立て、多くの人を病から救った人類の恩人である。
 一九六五年春−−。
 松戸にある三本松医科大学ではおかしな噂が乱れ飛んでいた。主任教授の杉野森弥三郎にこの頃奇怪な行動が目立つというのである。寝ている患者の枕元によってきてのどちんこを覗こうとしたとか、食堂でうどんを口から入れたり出したりしていたとか、歯科治療中の患者にちょっかいを出そうとしてドリルでやられたとか、その高潔な人格を知るものには信じられない噂である。

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