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デジタル・ムーバ(NTTドコモ)
 口に入れるには手ごろな大きさである。携帯電話はボタンがいくつもついているから、舌触りも楽しい。しかし、口の中に入れていたときにちょうど電話がかかってきた。あなたは口の中で着メロがなった経験があるだろうか。せっかく口の中にあるのだからそのまま会話しようとしたが、通話ボタンがどこにあるかわからずにくちゃくちゃやっているうちに切れてしまった。このような使い勝手の悪いものはかじってはいけない。
 
松本喜三郎(佐野祭)
 かじると「痛い」といった。おまけに目には目を歯には歯をとばかりにかじり返してくる。かじられながらどうせかじるなら手児奈にすればよかったと思ったが、それをやると別のジャンルの小説になるのである。
 そう、作者はたまには食わず嫌いをせずに時事パロディものも書いてみようと思ったらしいが、やはりどうみても単なるナンセンスである。どだい原作を読まずにパロディをやろうというのに無理がある。
 そんなことを考えている間に鼻の頭をかじられた。このようなかじり返してくるものはかじってはいけない。
 
フエキ糊(不易糊工業)
 思い出させないでくれ。
 
青雲(日本香堂)
 森田公一のコマーシャルソングでおなじみの線香である。といっても森田公一自体おなじみでない人もいるかも知れない。森田公一は作曲家で、キャンディーズやアグネス・チャンのヒット曲をいっぱい作っている人である。森田公一といえばなんといっても大ヒット曲「青春時代」である。「森田公一とトップギャラン」というバンドを率い、自らボーカルとして独特の鼻声で歌っていた。
 ところで、この「森田公一とトップギャラン」に一時期シュガーの笠松美樹が在籍していたのをご存じだろうか? シュガーという名前に覚えがなくても「ウェディングベル」という曲はご存じかも知れない。教会で式を挙げる元彼に悪態をつく女の歌である(こう書いてしまうと身も蓋もないが、実際こういう歌なんだからしょうがないじゃないか)。ミキこと笠松美樹はこのボーカルとキーボードを担当していて、シュガー解散後一時期トップギャランに入ったそうである。
 このシュガーでベースを担当していたモーリこと毛利公子が若くして亡くなったのはご記憶の方も多かろう。妊娠中毒症の一種だったらしい。お気の毒なことである。
 で、なんだっけ……そう。かじってはいけない。

     [完]




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