ある日、ブンブクチャガマとブンブクチャマガとブンブクチャママが幻のブンガクチャガマを探しに旅に出た。
道は三叉路になっていた。
片方の道には、「ブンラクチャガマ、こっち」と書いてある。
もう片方の道には、「ブランクチャガマ、こっち」と書いてある。
「俺はブンラクチャガマの方だと思うな」ブンブクチャガマが言った。
「いや、俺はブランクチャガマだと思う」ブンブクチャママが言った。
「ではこうしよう」ブンブクチャマガがブクブクチャマガを取り出した。
「これを投げて、ブンラクチャマガが出たらブンラクチャガマ、ブンブクチャチャチャが出たらブランクチャガマ」
ブンブクチャマガはブクブクチャマガを投げた。
「どっちだ」ブンブクチャガマとブンブクチャマガとブンブクチャママは一斉にブクブクチャマガを覗きこんだ。
「これは……」ブンブクチャマガが言った。
「これは、ブンラクチャマガだと思う」ブンブクチャガマが言った。
「いや、ブンブクチャチャチャだ」ブンブクチャママが言った。
「ブンラクチャマガだ」ブンブクチャガマが言った。
「ブンブクチャチャチャだ」ブンブクチャママが言った。
「よし。ではこうしよう」ブンブクチャマガが言った。
「この道を次に来る奴が、ブンブクチャラマだったらブンラクチャガマへ、ブクブンチャガマだったらブランクチャガマにしよう」
ブンブクチャガマとブンブクチャマガとブンブクチャママはブンラクチャガマとブランクチャガマへの三叉路で待ち続けた。
ところがやってきたのはプンプクチャガマだった。
ブンブクチャマガが言った。「あっ、あれはプンプクチャガマではないか。ブンブクチャラマでもブクブンチャガマでもなくプンプクチャガマだとすると、ブンラクチャガマにもブランクチャガマにも行けないではないか」
ブンブクチャガマとブンブクチャマガとブンブクチャママはその場に座り込んだ。
「俺ねえ」ブンブクチャガマが言った。「よく考えると、ブランクチャガマの方へ行くような気がしてきたな」
「俺もねえ」ブンブクチャママが言った。「よく考えると、ブンラクチャガマが正しいと思うよ」
「ブランクチャガマだよ」ブンブクチャガマが言った。
「ブンラクチャガマだよ」ブンブクチャママが言った。
「よし。ではこうしよう」ブンブクチャマガが言った。「ここにブンブクチャラマがある」
ホイッスルが鳴った。
松本喜三郎が言った。「ブンブクチャラマはもう使いました」
「え?もう使ったっけ」ブンブクチャマガが言った。「えーと、じゃあね、えー、そう、ここにフンフクチャガマがある。これが、プンプンチャガマになったら……」
ブンブクチャマガは松本喜三郎を見た。
「プンプンチャガマはまだ使ってないよね」
松本喜三郎は答えなかった。
仕方なくブンブクチャマガは話し続けた。
「えー、プンプンチャガマになったら、ブンラクチャガマの方へ、フクフクチャガマだったら、ブランクチャガマの方へ行こう」
「でも、フンフンチャガマだったら?」ブンブクチャガマが聞いた。
「フンフンチャガマだったら、ブンラクチャガマだ」ブンブクチャマガが言った。
「それは変じゃない」ブンブクチャママが言った。「フンフンチャガマだったら、ブンラクチャガマじゃなくてブランクチャガマだろう」
「それを言うならね、ブランクチャガマになるのは」ブンブクチャガマが言った。「フンフンチャガマよりむしろ、ブンブルチャガマだろう。……あっ!」
ホイッスルが鳴った。
松本喜三郎が指を一本立てて言った。
「ル」
ブンブクチャマガが続けた。
「まあ、問題はブンラクチャガマかブランクチャガマかじゃなくて、我々の行きたいのはブンガクチャガマなわけだから」
「じゅあ、とりあえずフンフンチャガマのときはブンラクチャガマにしとこう」ブンブクチャママが言った。
ブンブクチャガマとブンブクチャマガとブンブクチャママはフンフクチャガマを見守った。じっと見ていると、やがてフンフクチャガマはフンフンチャガマになった。
「フンフンチャガマだね」ブンブクチャママが言った。
「よし。ということは、ブンラクチャマガへ行こう」ブンブクチャマガが言った。
ホイッスルが鳴った。
松本喜三郎が指を二本立てた。
「ブンラクチャマガは、ブクブクチャマガの一形態です。行き先を言うならブンラクチャガマです」
「あーっ」ブンブクチャマガは頭を抱えた。
「では、ブンラクチャガマの方へ行こう」ブンブクチャガマは言った。
「まずはブンラクチャガマに行って、ブクブンチャマガを探そう」ブンブクチャママが言った。
ブンブクチャガマとブンブクチャマガは松本喜三郎を見た。
松本喜三郎は手を大きく横に広げた。「セーフ」
「そうだな。ブクブンチャマガがあれば、ブンガクチャガマへの道がわかるかもしれない」ブンブクチャガマが言った。
「あと、ブンブクチャガガが必要だ」ブンブクチャママが言った。
ブンブクチャマガがうなづいた。「それと、ブンブクチャラマだ」
「退場!」
松本喜三郎のホイッスルが鳴り響いた。
ブンブクチャガマが感心したように松本喜三郎に言った。
「あんた頭いいね」
主人公のブンブクチャマガが退場になったので、この話はここで
[完]